苗木の手入れについて
さて、このメールを読んでくださっている方は、当社で苗木をご購入されて、
日々手入れをされていると思います。
今月も2月の手入れについてお伝えしたいと思います。おつきあいくださいませ。
▼果樹苗木 植え付け後の2月の手入れ
この1月、2月は木はまだ休眠中です。残り少ない冬の期間、越冬している病害虫を駆除したり、
先月までにできていなかった剪定、肥料やりなどを行います。
今月も、休眠期ですので、相変わらず植え付けた時の状態のままだと思います。
極度の乾燥、過湿にあわせないようにくれぐれも注意をしてください。
今年の1月は例年になく降雨量が少なかったとのことですので、
通常は露地植えの植木には水はやりませんが、
あまりに乾燥しすぎますと木にはよくありませんから暖かい日中をねらって
人為的な水やりを行ってください。
厳しい寒さも続きますが、花芽も徐々に膨らんできていると思います。
また根も少しづつではありますが伸びています。
◎2月の落葉樹
柿:年を経ている木は「荒皮削り」といまして、幹や太い枝の表皮に亀裂ができてきます。
この亀裂に害虫が潜んでいたり、病原菌が越冬しますから、
荒皮を削ったり、病原菌に薬剤散布したりします。オルトランなどの殺虫剤が良いです。
◎マシン油乳剤について
前年にカイガラ虫が発生していた木には、「マシン油乳剤」を使います。
薬を使用する場合は、薬の裏に使用できる樹種名、害虫名、希釈倍数、使用時期などが
詳しく書かれていますので必ず守ります。
「マシン油乳剤」
作物名 |
適用病害名 |
希釈倍数 |
使用
時期 |
本剤の
使用回数 |
使用
方法 |
マシン油を
含む農薬の
総使用回数 |
かんきつ |
ヤノネカイガラムシ
その他のカイガラムシ
サビダニ
ハダニ類の越冬卵 |
30~45倍 |
冬期 |
- |
散布 |
- |
ヤノネカイガラムシ
その他のカイガラムシ
サビダニ
ハダニ類 |
100~200倍 |
夏期 |
落葉果樹 |
カイガラムシ |
12~14倍 |
- |
落葉果樹
(なし りんご かき もも) |
カイガラムシ
サビダニ
ハダニ類及びその越冬卵 |
16~24倍 |
りんご
(北部日本
芽生前に散布の場合) |
カイガラムシ類 |
30~45倍 |
- |
もも |
アブラムシ類 |
25倍 |
発芽前 |
桑 |
カイガラムシ類 |
12~14倍 |
- |
○代表的な防除薬剤
カイガラムシ駆除の効果的な薬剤は、「マシン油乳剤」です。この薬剤は、毒性で殺虫するのではなく、薬剤が乾燥した後に膜が形成され、その膜で虫を包み込むことにより害虫を窒息させます。
○散布方法
「マシン油乳剤」を水で 25~50 倍に薄め、展着剤(薬剤の樹木への付着を高めるもの)を1リットル当たり数滴添加し、それを数日おきに 2~3 回散布します。樹木への散布量は薬剤が樹木から滴り落ちる程度を目安にします。その際、購入した「マシン油乳剤」の使用方法をよく読んで、希釈率などを正確に守り、よく晴れた風のない日に、マスクやゴム手袋、帽子などでしっかり防御して散布しましょう。また、皮膚や自動車、フェンス等に着かないように注意してください。万が一ついてしまった場合はすぐによく水で洗い流してください。
○散布時期
12月中旬から3月中旬(常緑樹は2月上旬)で、なお、積雪地帯では降雪直前か雪解け直後で、雨の降らない日が続いた時に散布してください。
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露地植えの2月の管理・作業
・水やり 必要ありません
・肥料 元肥を先月に施していない場合は、樹冠の周りを10センチくらい堀り、好みの肥料を埋めましょう。元肥は油粕や骨粉などを施す方が多いですが、緩効性のIB肥料もおすすめです。
・剪定 適期です。
・除草 雑草を放置しますと、通気性が悪くなり、病気の発生を助長することになります。施した養分も雑草にとられてしまいますので、早めの除草をしましょう。
・移植、植え付け 移植する場合は落葉後に掘り取ります。植え付けも行えます。
・害虫駆除 アブラムシやカイガラムシ対策にはマシン油を冬場にやります。
鉢植えの2月の管理・作業
・置き場 日の良く当たるところに置きましょう。落葉樹は、部屋の中など暖かいところに置きすぎると花芽を付けてくれない場合がありますので、寒さには十分あてましょう。
・水やり 鉢の土の表面が白く乾いたらやりましょう。毎日の水やりは必要ありません。
・肥料 施しません。
・剪定 行ってください。
・植え付け・植え替え 落葉し、休眠期ですので植え替え、植え付けは適期です。
◎2月の常緑樹(カンキツ類、ビワ、フェイジョア等)
みかん類は、積雪で枝が折れないようにこの時期は注意してください。
先月は、みかんの成木の土壌改良についてお伝えしました。
2月はみかんの成木の2回目の土壌改良についてお伝えします。
土壌は放置すると酸性に傾むく傾向がありますので、
土壌の酸性改良、またマグネシウム、カルシウムの補給のため、
消石灰か苦土石灰を成木で1本あたり1.5~2キロを施します。
樹冠の下に苦土石灰をばらまき、散布したところを中耕します。
だいたい15センチほどの深さでよいです。
◎レモン:レモンは常緑果樹ですが、葉が全く落ちないわけではありません。2年ほどで葉の寿命がきます。その落葉のピークは2月となります。古い葉は黄色くなり落葉しますが、正常なので問題はありません。また、自然に落ちた葉は病気のもとになりますから拾い集めて処分してください。
◎ビワ:ビワは12月に花が咲き、今もまだ花が咲いている地域もあると思います。花柄が落ちて幼果が現れてくると思います。先月お伝えした摘果を確実に行ってやると大きな実がとれます。袋かけはもう少し先になります(4月)冬の肥料も2月~3月にやってください。
◎ミカン類
露地植え2月の管理・作業
・水やり 1月に同じく、1週間も雨が降らなければ人為的に水やりをしてください
・肥料 先月施肥をまだしていない場合は今月します。(樹冠の外周の下を幅30センチ、深さ15から20センチに円周上に溝を掘り、肥料を施したあと溝の上に土をかぶせます。)
・土壌改良(上記のやりかたで行います)
・収穫 ダイダイやキンカン類は少しずつ収穫します。
・剪定 行いません(寒害の恐れのない暖かい地域は剪定してもよいです)
・植え付け・移植 行いません
鉢植えの2月の管理・作業1月に同じくになります
・置き場所 太陽光線に当ててください。
・水やり 乾いたらやります。一回の水やりはたっぷり鉢底から水が流れるまでやりましょう。
・肥料 葉の色を見て黄色いようなら追肥をやります。葉の色が濃ければやりません。
・剪定 行いません
・植え替え・鉢替え 行いません
・防寒 十分な防寒を行ってください
【果樹の関連サイト】
旧暦について今月はいろいろ調べておりましたら面白いサイトがありましたので 今月は 関連サイトを2つご紹介したいと思います。
〇ほぼ日刊イトイ新聞の中の昔の記事になります。
対話形式の記事で旧暦について詳しく知ることができました。
昔の暦でいまを楽しむ。旧暦と暮らす「ほぼ日」の12か月
〇月の満ち欠けと植物との関係について書かれている記事が掲載されています。月と農業の言い伝えやことわざが掲載されています。月と太陽の引力が植物の成長に影響を与えるとのことなど面白いです。種まきや苗植えの日程を月の満ち欠けにあわせて実行するという言い伝えなどがたくさん書かれていて興味深いです。種まきは満月の5日前から満月前日までに といういわれがあるそうです。果樹苗を植えるのもこの月の満ち欠けに準じればいいのでしょうか・・
新しい「農」のかたち
ここまで読んでくださりありがとうございました。では、また来月もお会いしましょう。