果樹苗木・成木の手入れについて
さて、このメールを読んでくださっている方は、当店で苗木をご購入されて、日々手入れをされていると思います。昨年の10月から始めた月々の手入れについて今月8月も引き続きご案内したいと思います。 おつきあいくださいませ。
▼果樹苗木 植え付け後の8月の手入れ
台風襲来の季節ですので、木が倒れる心配があれば支柱で補強しましょう。
今年度植え付けたばかりの苗木は、新芽が伸びていても根はまだ十分に張っていないので、
乾燥にはくれぐれも注意しましょう。
また、長雨が続くと水はけが悪く病気になります。
排水がうまく行われていない場合(雨が降ったあとに水がずっとたまっている等)は
苗木の周りに側溝を掘り水が流れるようにして水はけをよくしてやりましょう。
また台風や低気圧などの強風でせっかく根付いた根っこが傷まないよう、
苗木がぐらつかないようにしっかりと支柱が大丈夫か見直しておきましょう。
◎8月の落葉樹
◎ウメ:高温と乾燥で一見、木は弱ったように見えますが、強い光線のもとで光合成は盛んに進んで養分の蓄積もおう盛に行われてます。花芽の分化も進んでいます。移植して間もない木は乾燥に気を付けましょう。
(NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月 ウメより)
◎カキ:この時期、木も果実も成長を休んでいますが、9月に成熟する早生品種だけは果実の肥大成長を続けます。花芽は引き続き分化期です。夕立が少なく乾燥しがちな年は、水やりをこころがけましょう。土壌中の水分があまりにも不足すると果実から水分が失われ、大きく育たなくなります。
(NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月 カキより)
◎クリ:8月下旬から早生栗、森早生の収穫が始まります。カミキリムシの被害にあいやすいのが栗の4年生以上の木になります。
◎スモモ・アンズ:スモモ、アンズも晴天が続いた時には水やりをしてやりましょう。毎日の水やりは必要ありません。
◎モモ:桃は収穫も終わりましたね。弊社では大玉白鳳が実をつけてくれました。実は小さかったですが味が濃く美味でした。お礼肥は9月上旬にします。
◎キウイ:キウイはこの8月の間につる性の枝は褐色に代わって次第に木質化します。7月までは驚くほどの速さで大きくなった果実は8月にはいると肥大がゆるやかになり、次第に収穫時の大きさになります。果実の色も緑色から茶褐色になります。
(NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月 キウイより)
◎イチジク:イチジクは、一度でも水切れさせると葉が傷んだり、枯れたりし、収穫もままならなくなります。乾きすぎないように水やりをしましょう。またイチジクはすべての枝葉や日光に光が当たることが大切です。8月上旬から中旬は夏果の収穫、8月下旬からは秋果の収穫が始まります。
◎サクラ:7月に引き続き木は充実期です。春に剪定をして枝を軽くしていない木であれば台風に備えて支柱を強化しましょう。 秋は幹がよく太る時期ですから大きく育てたい場合は、今のうちにリン酸、カリ分を施しておくと効果的です。8月中旬以降に油粕に粒状の緩効性肥料を等量混ぜたものを追肥として施すとよいでしょう。
(NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月 サクラより)
《カミキリムシの生育サイクル及び防除について》
カミキリムシの成虫は5月~8月に発生し、産卵(6月中旬から7月下旬)し7から10日後にふ化します。幼虫は樹皮下を食害し、はじめは細かいふんがでてきますが、次第に細長い木くずとふんが混ざって押し出されます。その後、材部に入り、平たい円形の孔道を作りながら大量の木くずを出して材部を食害し晩秋には越冬に入ります。2年目も幼虫のままで木くずとふんを排出して食害を続け越冬します。3年目も食害を続け、9月ゴロに幼虫がサナギとなり10月下旬ごろに羽化しそのまま越冬します。成虫は4年目にに幹に直径1センチの穴をあけて脱出し若い枝の樹皮を食害してから交尾します。交尾後、メスは枝幹に円形のかみ傷をつけ、樹皮下に産卵管を差し込んで卵を1個産み込み、横に移動して次々に産卵していきます。被害が大きいときは幹を取り巻いて産卵のあとがあります、
防除法は、産卵期に見て回り、産卵痕を見つけ次第、薬剤処理します。トラサイド、スミバークE、サッチューコートSなどの枝幹害虫防除剤をスプレーして産卵部に浸み込ませて卵を殺します。4月上旬に木くずが出始めたところには薬剤を注入し越冬幼虫を殺します。
産卵位置は地表面から50センチ以内が多いので、厚い肥料袋などで地際から幹に巻いて産卵しないようにするのも防除法の一つです。
(参考 新特産シリーズ クリ 栽培から加工・売り方まで 農文協より)
露地植えの8月の管理・作業
・水やり 乾燥に注意し、雨が降らない日が続いた場合は朝か夕に水やりをします(下欄を参照ください)
・肥料 施肥します。リン酸、カリ成分を施すと効果的
・剪定 特にしません
・除草 こまめに引きます
・移植、植え付け 行いません
鉢植えの8月の管理・作業
・置き場 午後の強い直射日光が当たらない場所で。日焼けによる葉の傷みを防げます。
・水やり 乾燥に注意し朝夕2回の水やりを基本とします
・肥料 施肥します
・防除 少量の鉢植えの場合病害虫被害はあまり考えなくてもよいが、予防のためにはオルトラン粒剤を40-50日おきに鉢土の表面にまいておくとよい
《露地栽培 水やりの工夫》
土層の浅いところや乾燥しやすい土の場合は高温乾燥が10日も続くと露地栽培でも水やりが必要になってきます。
水やりは広範囲に散水するより、幹から60センチから1m外周に幅30センチ、深さ20センチの溝を輪状にほるか外周上に床泥子ど穴をほり、その中に注水すると効果があります。
また水やりをした後にはわらなどを溝や穴の上に敷くと水分の蒸発を防げます。
◎8月の常緑樹(カンキツ(柑橘)類、ビワ等)
カンキツ(柑橘)類は、夏芽の伸長充実が盛んになされ、第二回目の根の伸長が始まり、果実中に酸、糖の集積が開始されます。葉の蒸散作用も活発になされ、やがて果実の肥大最盛期を迎えます。病気や害虫の被害にも一番あいやすい時期ですから注意して観察しましょう。7月に引き続き摘果、潅水を行います。
◎レモン:レモンの摘果適期は8月です。7月中はまだまだ生理落下があるので、8月に摘果をしましょう。摘果は葉25枚に対して果実1個が目安です。摘果をすると果実がジューシーになり果実も大きくなります。大きくきれいな果実を残しましょう。病虫害に侵されたもの、黒ずんでいたり傷があるものは切り取りましょう。少しの果実の場合は袋かけをすると病気や害虫から守れます。市販の果実袋の利用が便利です。リンゴやナシ用でよいです。ポリ袋などは高温になったり蒸れたりするのでやめましょう。鉢植えの場合は雨にあたると黒点病にかかるのでなるべく雨にあてないようにします。またカミキリムシの被害にあっていないかはパトロールしましょう、木くずがでていないかチェックします。
(NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月 レモンより)
◎ビワ:ビワは新しい枝葉が成長している時期です。水やりしすぎてもいけませんが極度の乾燥にあわせないように注意しましょう。9月が剪定の時期となります。
露地植えの8月の管理・作業
・水やり 土の乾き具合をみて朝か夕方涼しくなってから十分に行いましょう
・肥料 施しません
・摘果 摘果は早いほど養分ロスが抑えられ、効果が大きいのですが、落果が完全に収まる8月上旬頃から始め下旬頃に終わらせるスケジュールが良いです
・収穫 キンカンなど昨年の取り忘れがあればとってしまうようにします
・剪定 この時期は行いません 枯れ枝やあまりに込み合っている場合は取り除きましょう
・植え付け・移植 行いません
・台風対策 支柱をしっかり整備しましょう 防風網で包むことも有効です 海の近くでは台風後葉を水洗いしましょう
鉢植えの8月の管理・作業
・置き場所 コンクリートの上など温度があがる場所は避けましょう。太陽光線はあたるところがよいです。西日が強く当たる方角の場合は半日陰になるよう工夫してください。
・水やり 乾いたらやります。真昼の炎天時や夜の水やりはよくありません。
・肥料 葉の色が黄色い場合は追肥しましょう
・剪定 行いません
・植え替え・鉢替え 行いません