Q：「桜の花が少ししかつかないのですが？なぜでしょうか」
というご質問を頂きました。
お電話でしたので、地方、植え付け方、育て方、今の状況について伺いました。
鹿児島での桜の栽培であること
植え付けは、肥料のやりすぎもなく、樹高も2.5ｍくらいまで順調に育っていること、剪定もせず枝先を切ってもいないということでした。日当たりもよく、現在の状況は葉色もよく育っているとのこと。

色々伺って成長に問題は特にないように思いました。
が、「鹿児島県！という暖かい地方での桜、「落葉樹の暖地での栽培」でひっかかりを持ちました。寒い期間、一定の寒さにあたることにより花芽が形成されるというようなことだったかなあと思い南丹農業普及センターに尋ねてみましたところ大変丁寧にお返事をくださいましたので了解を得てここに転載させていただきます。

◎サクラ の花付き が悪くなる原因 について
1.日照不足
サクラは日当たりの良い場所を好むため、日照不足だと花を咲かせなくなります。日照不足は花芽の形成を阻害したり、花芽を形成しても開花することができなくなります。
また、枝が混み合うような木も日照不足となり、開花が少なくなります。

2.休眠打破が十分になされなかった
サクラは品種にもよりますが2~10°Cの寒さを一定期間受けると開花に向けて花芽が目覚めはじめます。これを休眠打破といいますが、近年冬の気温が高く、「休眠打破」が十分に行われず、うまく開花が行えない場合が増えています。特に元々温暖な九州南部では休眠打破が十分に行われず、開花遅いや開花時期が揃わないや開花数が少ない等の現象が見られるとの報告があります。

3.施肥方法の誤り
サクラの施肥時期は２回あります。
・寒肥 １～２月
・お礼肥 お礼肥 ５月
原則、寒肥は必ず実施し、お礼肥は樹勢を見て、施肥を行うかを判断します。施肥方法は株の周囲に何カ所か穴を掘り、緩効性肥料(N-P-K10-10-10)を 200~300g/本程度を施用します。時期を誤ることで、花芽形成に影響を及ぼします。また、施肥は多すぎても、少なすぎても花芽形成に影響を及ぼします。

4.夏場に水切れを起こした
夏場は花芽の形成期にあたり、この時期に水不足だと、花芽の形成に影響が出て、翌年の開花が悪くなります。

5.強剪定をした
剪定は12~3月上旬頃に行いますが、強すぎる剪定を行うと長期間開花しなくなるので注意します。

6.生育期に根を傷めた
4月以降の生育期に入ってから根を切ったり、痛めると、木に負担がかかり花付き悪化を招きます。

上記の事柄は、桜に限らず落葉果樹にも共通して言えることがありますので、桜は植えてなくてもご自身が植えられている果樹や植木にあてはめて考えて見られるとよいかと思います。

新しい枝がぐんぐんと伸び、若葉が大きく展開し緑が一段と美しい季節となりました。
込み合った枝があると風通しが悪くなりますので、間引き剪定をするなど適宜しましょう。
特に、梅、杏、下記は落葉期の枝だけだった時とは異なり、たくさんの葉が展開して思ったよりも密集していると思います。
方向のよくない枝や直立した枝など間引きをしてみましょう。

またその時に木をよく観察して病虫害も早めに見つけて防除しましょう。
虫の動きも活発になる時期です。
殺虫剤は倍率、回数などを守り使用しましょう。

今年は、アブラムシの被害が多いように思います。
浸透移行性の殺虫剤を使いますと、１か月くらいは効果が持ちます。
製品名ですと「ベニカ」「オルトラン」などです。
どの樹種に使える、使用時期、使用回数など詳しいことはラベルに書かれていますので適用の樹種や回数を守って風のない朝に散布してみてください。

参考までにベニカの果樹に使える作物名と使用時期をまとめてみました。
効果がある害虫名や、薬剤の倍率もそれぞれ異なりますので確認してから使ってくださいね。
（参考）
カンキツ、サンショウ／収穫前日まで
カンキツ（苗木）／春芽・夏芽または秋芽の発生前
カキ、モモ／収穫７日前まで
ウメ／収穫前日まで
スモモ、アンズ、イチジク／収穫3日前
ビワ／カミキリムシ防除は収穫３日前まで
ビワ／アブラムシ類、カメムシ類、カイガラムシ類は収穫前日まで

◎ウメ：今月は、梅の収穫の時期です。小梅は上旬に熟し、他の大梅は中旬から下旬が収穫時期となります。 ウメは収穫後にお礼肥をすることで来年の花付きがよくなります。
（ＮＨＫ趣味の園芸　よくわかる栽培12か月　ウメ　より）

◎カキ：柿は、曇り、雨の天気が続くと日照不足となり、幼果が落ちる生理的落下が起ります。生理的落下は、種ができなかったために起る他、日照不足のために果実どうし、果実と枝葉が栄養を奪い合って起こるとも考えられています。落下がひととおり終わったところで、人為的な摘果を行います。1枝１果を目安にします。幼果の方向をよくみて下向きの充実した果実を残し、上向きの果実は摘果します。 徒長枝の整理を行っていなければ今月行います。
（参考ＮＨＫ趣味の園芸　よくわかる栽培12か月　カキより）

◎クリ：栗は５月末から６月初旬にかけて開花しています。 ２品種以上を混植していると受粉して結実します。今月はアブラムシやカミキリムシなどたくさん虫が寄ってきますので見つけ次第補殺し、または所定の薬剤を散布します。株元に木くずがでていたら、木屑を取り除き、孔を見つけて針金などを差し込んで幼虫をついて殺します。

◎スモモ：この時期、幼果が少しずつ大きくなってきています。たくさんなりすぎているときは、６月では少し遅いですけれど、摘果をしましょう。収穫期は早いもので６月下旬、遅いもので８月末頃です。鳥にとられる前に網をするなど気をつける必要があります。木を大きくしたくなければ、長く伸びそうな枝を夏の時期に剪定するとよいです。

◎アンズ：収穫はすぐそこです。６月中旬から７月初旬が収穫時期です。こちらもスモモに同じく、鳥につつかれないように気をつけましょう。

◎モモ：当店で扱っている１品種で自家結実性のある（１本で実のなる）大玉白鳳は、収穫時期が７月中旬～下旬です。桃は、夏に枝がよく伸びますからぐんと伸びたいらない枝（徒長枝）を間引くようにします。また結実が多い場合は摘果をし、残した果実は袋かけをして育てましょう。

カンキツ(柑橘)類は、この時期、花が咲き、幼果ができてきます。 とげがある樹種は、まめにとげを切るようにしましょう。実を傷つけるもととなります。とげをとっても生育に影響はありません。

◎レモン：レモンは５月から６月にかけて花を咲かせ、花びらやおしべが落ちます。またそれと同時にできた幼果も落ちます。受粉、受精ができていなかったり、果実に十分栄養がいかなかったりという場合におきます。落下が多い場合はなにかしら原因があるので、冬場の防寒対策が十分だったか、日当たりはどうか、剪定をしすぎていないかなど振り返ります。下旬になれ夏枝が伸び出します。
（ＮＨＫ趣味の園芸　よくわかる栽培12か月　レモンより）

◎ビワ：ビワは収穫時期です。一気に熟しますので、袋かけをしていた場合は熟期を逃さないように気をつけましょう。収穫後に若い枝がぐんぐん伸びます。剪定は秋まで待ちます。

◎フェイジョア：ちょうどこの６月がフェイジョアの開花時期です。ピンクの花びらと赤いめしべがかわいらしいです。フェイジョアは花も食べられます。とっても甘いんです。 花を食べるのは、植えている人だけの特権ですね。

◎ヤマモモ：ヤマモモは、４月に花が咲いた後、この６月、ちょうど梅雨の時期に赤い実をつけます。大きくなるとたわわに実をつけましてジャムやお酒など楽しめます。ヤマモモは病害虫が少なく育てやすい樹種だと思います。